第37回メソ気象研究会に参加

26日からの気象学会のため上京していたが,前日に研究会があると知り聴講してきた.
研究会は気象庁講堂で行われたので,事前に気象科学館と津村書店に立ち寄ってみた.

科学館で印象的だったのは,波浪と津波の違いを説明するための水路模型.
これは,札幌管区気象台の見学会(イベント名は忘れた)でも見たものと同じ.
管区気象台のときは手動で波を起こしてたけど(水路も自作?),今回は立派な模型だった.
比較的新しかったので震災後に作られたのだろうか?
その他,天気予報を紹介するビデオもなかなか面白かった.
時間があればもっと見てみたい.(というか,WEB上に公開して欲しい)

津村書店では,
「数値予報課報告・別冊 54号 気象庁非静力学モデルⅡ ―現業利用の開始とその後の発展―」
を購入.NHMのformulationを勉強するのにちょうどいいかも.

研究会の雑感

議題は「再生エネルギーとメソ気象との関わり」.
以下,HPよりテーマ設定の理由を引用.

 昨年の第35回メソ気象研究会「メソ気象研究の将来展望・構想」では,メソ気象研究の今後の発展のためには多分野との連携について強化すべきだという議論がなされました.今回のメソ研究会では,その議論を受け,昨年の大震災以降に脚光を浴びている再生エネルギーの活用に対してメソ気象学がなせる役割について考えることにしました.
 太陽光や風力発電などの再生エネルギーを効率よく活用するためには,事前に日射量や地表風をできるだけ正確に予測することが必要であり,その予測技術を向上させるためにはメソ気象学の知見が求められています.ユーザー側からの要求もふまえ,現状の問題点および解決すべき課題について話題を提供していただき,今後の連携についても議論したいと考えています.幅広い方面からの多くの方々のご参加と活発な議論をお願いします.

気象学の応用分野としての再生可能エネルギー供給量予測には以前から興味を持っていたので,面白い企画だと感じた.
要点や簡単な感想を列記してみる.

  • PV,PV連呼しているからいったいなんだ?と思ったが,太陽光発電(PhotoVoltaic)のことらしい.
  • 電力事業者としては,発電設備一か所の発電量変量よりも,管轄領域全体の変動(平均値)が知りたい
  • 当分は火力依存となるのは避けられない.
  • JMA-NHMの放射スキームは,全球モデルとほぼ同じ.
    • これは意外だった.空間スケールが全く違うのに大丈夫か?
  • スキームは晴天時と曇り時で分けて開発.
    • 雲の再現がやっぱりネックとなっているようだ.雲微物理は重要だと思うが,どこまでモデルに組み込めるのだろうか?
  • 放射スキームは他のスキームと比較して精度が高い(特に晴天時)が,計算量が多いという特徴を持つ.
  • そのため間引きが必須.
  • 放射スキームの向上⇒「放射フラックス+加熱率」の向上
    • 加熱率ってなんだっけ?あとで調べておこう.
  • 工学モデル=ガイダンス(MOS)=統計的モデル
  • 太陽電池のデバイスは高温に弱い
  • 下層の層状雲の再現が日射量予測が外れる一因となっている.
  • 風力発電量の予測では,位相ズレは致命的(そもそも総観場が合ってないと話にならない).
  • 対策としては,「位相誤差補正法」といった手法が考えられている.
  • RANS(鉛直1次元モデル)とLESの中間の領域は未知の領域(terra incognita)と呼ばれている(Wyngaard, 2004JAS).
  • NHMの解像度を細かくしていくと(50m程度),LES的な対流セルが見える.ダブルカウント問題は生じない.
  • LESによる結果を正解として(データベース化),高解像度RANSの検証を行うという方向性.
  • Top-hatフィルター?
  • 予報が外れた事例を外部に積極的に公開するべきでは?
  • 信頼性区間の情報が欲しい.そのためにはMSMのアンサンブルが必要.