今田ら (2012水工)

  • 今田由紀子,木本昌秀,鼎信次郎, 2012: 特異値分解解析を用いた統計的ダウンスケーリングによる季節予測―インドシナ半島の秋季の降水の予測可能性―. 土木学会論文集B1(水工学), 68, 1369-1374.
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    • キーワード:季節予報,ENSO,統計的ダウンスケーリング,SVD解析
Abstract

冬季アジアモンスーンのインドシナ半島における地域降水場の潜在的な予測可能性を,GCMよる季節予報の統計的なダウンスケーリング結果を使って調べた.地域降水場と熱帯太平洋のSSTに対するSVD解析によって,2つの異なる時空間構造が見出された.1つは,熱帯東太平洋に変動のピークを持つ一般的なエル・ニーニョと関係した,中央および南ベトナムが極端に乾燥する状態である.もう1つは,熱帯中央太平洋に変動のピークを持つ新型エル・ニーニョと関係した,北ベトナムが極端に乾燥する状態である.また,ハインドキャスト実験では,新型エル・ニーニョと関連したモードの予測は難しいが,従来のエル・ニーニョと関連したモードの予測可能スキルは相対的に高いという結果を得た.以上の結果は,地域気候予測を目的とした統計的ダウンスケーリングに対しては,個々の物理的な視点に根差した検証が重要であることを示唆している.